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夢を買う女

身を持ち崩さない程度に夢をみる女のひとりごと

シェイクスピア没後400年の年に英国グローブ座のThe Merchant of Veniceをベネチアで観てきた話。

2016年10月中旬 @ベネチア、ゴルドニ劇場

 

たまたま友人に「ヴェニスの商人やるらしいけど行く?」と聞かれて、「行く行くー!」と二つ返事でチケットをとってもらい、急遽行ってきた舞台です。海外の劇場は初めて。そして学割で14€という日本基準だと破格の価格設定にチケット購入時から感動してました。さすがヨーロッパ。

 

で、チケット買ってからポスターをよく見ると「グローブ座」の表記が。どっかで聞いたなぁと思って調べると、英国でシェイクスピアを上演してる劇場とその劇団ではないですか!年始にやってたまぁ様やコマさんがやってた劇団ね!

って気づいて一人で感動。しかも、ヴェネツィアヴェニスの商人って!しかも、シェイクスピア没後400年の年に物語の舞台の地で、シェイクスピアイズムを受け継ぐ(?)劇団による英語での公演って!もう見る前からまたまた感動がとまりません。

 

そもそもこのグローブ座の公演、このブログを書くためにもう一度調べると、世界各都市を周るワールドツアー公演のラストでした。

The Merchant of Venice / Shakespeare's Globe

 

リバプールをスタートしてN.Y.、ワシントン、シカゴ、広州、香港、北京、上海、南京、ロンドンを4か月足らずかけて周って最後がヴェネツィアでした。

とはいえ、海外の役者さんなんて全然知りません。(日本の舞台俳優さんですら、ほぼ知らない)シャイロック役の方などはすごく有名な方だったのも公演後に知りました。いやーすごい舞台を観てきたのに価値が全然わからない人間でほんとだめですね。

 

で、当日劇場へ。ベネチア本島にある、ゴルドーニ劇場です。

http://www.goldoniteatro.it/new/  (イタリア語です)

 

夜の8時半開演という遅さ。日本でも遅めの開演時間の舞台を増やしてほしいと思いつつ中へ。

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劇場の外観。前の道路は日本みたいに広くないので、恐ろしく外がごった返しています。

 

ロビーは改修されたようでとても綺麗。でもトイレの数の少なさにびっくり。一か所に5部屋くらいしかないのに回ってるってすごいな。今回は日本でいう2階席でした。海外では1階がグラウンドフロアになるので、私の席は一階と表記されてました。

私の席から舞台を見ると、こんな感じ。

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日本でいう2階3列センターブロック上手側って感じの席です。

 

劇場内はヨーロッパのオペラハウスみたいな感じがして、古いままの建物の内装やカーテンがかかっていたりと舞台のセットみたいに綺麗で感動。でも上からつるされているカーテンのせいで舞台の奥が見切れてしまったのは残念でした。そして開演後も足元のライト以外にも二階席だと薄暗くライトがついたままなのもびっくりしました。真っ暗にはならないのか!

 

そしてみんな自由!日本だときっちりした格好の人たちが集うイメージですが、もうスーツで行くと逆に浮いちゃうレベルでみんなカジュアル。イタリア人の友人から「普段着で来てね」と事前に言われてびっくりしていたのですが、本当に普段着で大丈夫でした。1階の人たちでさえ、最前列の人たちでさえ、ほぼスーツの人いないって日本ではなかなか考えられない気がして、このカジュアルさが根付く文化をうらやましいなぁと思っていました。

あと、公演中に若干前のめりで見る人がとっても多い!観にくいよ!アナウンスあったよね!?そして公演中に携帯電話をいじりだした数列前のおばさんは、本当に気になって仕方なかったのでやめていただきたかったです。日本でもなかなかしないよ、それ。

 

 

で、肝心の舞台ですが、英語上演、イタリア語字幕のシェイクスピア。初見。

 

 

 

 

…難しすぎた。

 

幕開きは仮面舞踏会のようなスタートで、数名のバンド?による生演奏で、演出にわくわく。仮面がとってもベネチアの雰囲気が出ていました。幕開きとはいえ緞帳はそもそも開いていたし、自然と演奏が始まって役者さんたちが踊りだして、いつの間にか全員集合していて、すごく不思議なスタートでした。

別に英語ができる人間ではないので、かすかに単語を聞き取りつつ、登場人物の識別を行うことでまず精一杯。Wikiの情報を必死で頭の中で思い出しながらストーリーを追ってました。ポーシャの婿選びのシーンは面白かった!キャラ立ちしてるってわかりやすいです。使用人のランスロットの場面では客席の人を舞台上に引っ張ってきて一緒にしていて、舞台と客席の近さを改めて感じました。

やはり圧巻だったのは裁判の場面かな。ユダヤ人のシャイロックの方の演技がすごかったです。やっぱりこういう時はオペラグラスを使いたくなるので、1人オペラを覗いて日本で観劇しているときのようにガン見してました。(笑)ユダヤ教からキリスト教に改宗させられるという判決を下された時の絶望感、悲壮感はすごかったです。無宗教の典型的な日本人である私にとっては理解するのが難しかったですが。

ラスト、大っ嫌いだった父がキリスト教徒に改宗させられたという判決を受けて悲しみに暮れる娘ジェシカの様子も印象的でした。その後ろで洗礼の水を浴びるシャイロックの、すべてを失った男の悲しみにつつまれて終わるのも、印象的でした。

 

で、なんと終演時間は夜の11時半!そんなに遅くなるとは‼!地元の人が平日に気軽に観に行けるというスタンスで作られているのがこんなところからもわかりました。それにしても、さすがに日本ではこの時間は難しいな…

 

終演後は日本人の友人たちとひたすらストーリーを確認しあい、ラストについて話してました。キリスト教徒万歳な描かれ方をしているように思えてしまうこのストーリーを通して、シェイクスピアが伝えたかったことは何だったのか。シェイクスピア作品である以上、そんなに簡単なメッセージなはずはないと思うのですが、無宗教の日本人でさえ考えさせられる物語は、やはり興味深かったです。現地の人たちはどんなことを思って観ていたのか気になるけれども、宗教が絡むと感想を聞きにくい…

 

日本で観ると、きっと日本人にわかりやすく演出されるだろうし、そもそも日本語上演であれば今回よりセリフの意味も分かるはずです。2,3年前にやってた蜷川幸雄さんのオールメールシリーズのベニスの商人を迷って見に行かなかったことをこんなに後悔するなんて思ってもみなかったです。でも、ヨーロッパでヨーロッパの作品を観ると、日本人の役者よりキマって見えるし(言い方)実際に舞台に本当に生きている感覚がよりするなぁと思います。あと、なにより普通のメイクでもみんな衣装がとっても似合う!さすがですね。

そしてやっぱり、舞台はおもしろい。役者さんが、舞台に関わる人が、全力で届ける公演を見ると、何かしら考えさせられ、心が動く気がして、やっぱり私は舞台が好きなんだなぁと思います。

 

というわけで、これ以外も観たい(というか観た)ので、もう少し海外の舞台の話が続きます。